暖かい日が続いて、このままなし崩しに暖冬と分類され記録される冬になると思いきや。
「さっむーい」
急な寒波が押し寄せ、その認識が誤りであったことを自覚させるに十分な朝の冷え込み。
いわゆるこの冬一番の寒さってヤツは、ついでに白くて脆い結晶をももたらした。
「ほら、アオイ!早く行って暖房つけて暖まろうよ」
朝から家に来て何故か一緒に職場へと足を向けているは、寒い寒いと繰り返しマフラーの中に首を引っ込めている。
その姿が妙に自分の記憶と齟齬をきたしてすっきりしない。
確かちょっと前、そう、クリスマスの時分には…。
「雪、楽しみにしてたんじゃなかったっけ」
「うん?んー、楽しみにしてたね」
「既に過去形なんだ」
「てゆーかさ」
クリスマスの雪だけ期待してたんだよねえ、なんて。
かなり現金で、かなり商業主義が作り出したお仕着せの慣習に踊らされた言葉を、外気に白い息を吐き出しながらものすごく残念そうに呟く。
「…わがままって言わない?それ」
「言うかも言わないかも?」
「疑問差し挟む余地なんてないだろ…」
初雪降りて。
彼女の心は…残念ながら満たされなかったようだ。
まあ、そんなところがチャーミングだと言えなくもない。
のかな?
2007.12.30