いつものこと



「ずるい」
「何が」


がずるいと言えば、セフィロスが含み笑いのまま疑問を口にする。
よくある光景、いつものこと。








「やっぱりずるいよ」
「ほう」
「聞いて、人の話」
「聞いているだろう?」
「聞き流してるくせに」


怒って拗ねたを、ほとぼりが冷めかけた頃合いを見計らってセフィロスが抱きしめる。
些細なケンカと、この光景はいつもワンセット。


「セフィロスって、そうやってなんでも誤魔化そうとするんだよね」
「またお前は人聞きの悪いことを」
「違うの?」
「さあ、どうだかな」


怒る気持ちが勝って拒絶の意志を伝えてようとする強張った身体も、次第に自分以外の体温にとけ込むように、自分以外の鼓動に誘われるように力が抜けていく。


またほだされた、とか。
また誤魔化された、とか。

思うところは多々あれど結局。
抱き寄せられるままに胸元に頬を寄せて心音に耳を傾けていたが、根負けしたように笑って。


「やっぱりセフィロス、ずるい」
「そうか」


普段通りの関係に戻る。


飽きもせずこりもせず二人の間で繰り返される、いつものこと。